2006-09-10

Kronenbourg 1664

隣県で入手したクローネンブルグ。フランスを代表するビールで、世界でもトップクラスの売り上げを誇っている。日本でも比較的入手しやすいそうだが、ハイネケン等のように日本のメーカーがライセンス生産しているわけではないので、そういうものに較べるとさすがに見掛ける頻度は落ちる。

先程フランス代表と言ったけど、クローネンブルグが生産されているのはあのアルザス地方。


アルザス(アルザス語・ドイツ語:Elsass,フランス語・英語:Alsace,ラテン語:Alisatia)は、フランス北東部に存在する地方であり、住民の大部分はドイツ人の一部であるアレマン人だといわれ、130万人の住民がドイツ語の方言であるアルザス語(Elsässisch, alsacien, Alsatian)を話しており、アルザスはドイツ文化において重要な役割を果たしてきた。王制時代は「ブルボンに仕えるドイツ人」と呼ばれていた。首府はストラスブール(ドイツ語ではシュトラースブルク)。(Wikipediaより引用)

アルザス地方といえば、近代を通じてフランスとドイツが領有を争った、独仏対立を象徴する地域としても知られている。というのも、この地方はドイツとフランスの接触地帯として軍事的に重要な位置にあったのに加え、鉄鋼、石炭、カリウムなどの鉱産資源が豊富だったからだ。

中世を通じて神聖ローマ帝国(ドイツ)に属していたアルザスは、同帝国を徹底的に疲弊させ、後の分裂時代へと扉を開いた三十年戦争の講和(ウェストファリア条約:1648)により、フランス領となる。その後、17、8世紀を通じてフランスに属し、フランス革命以後はフランス同化政策を推進されたりもしたが、1870〜71年の普仏戦争でプロイセン軍が大勝利をおさめた結果、フランクフルト講和条約でドイツ領となる。このときプロイセンは、アルザス領有の引き替えとして、フランスに50億フランもの賠償金を支払っているが、どうやらドイツにとってもそれだけの価値はあったらしい。普仏戦争を契機に悲願の国内統一を果たしたプロイセン・ドイツは、宰相ビスマルクの辣腕により国内の近代化を推し進めていくのだが、鉱産資源の豊かなアルザス・ロレーヌ地方は、ドイツ工業の飛躍的発展に多大な貢献を果たすことになった。そしてそれは、第一次世界大戦で大敗し、ふたたびアルザス・ロレーヌ両地方の領有権を失うまで続くことになる。いわばアルザスは、大国ドイツの浮沈と運命をともにしてきたともいえるわけだ。

そして、現在アルザスはフランス領。現在でもドイツ文化の色彩の濃いアルザス地方だが、そこで生産されているクローネンブルグはいまやフランスを代表する味覚のひとつとなった。その味は、やはりホップの香りが鮮やかに漂い、さっぱりしているが、しっかりと味が付いている印象。クローネンブルグの製造手法にはドイツの影響が大幅に入っているという話だが、実際に飲んでみると、この国際的銘柄はかならずしもドイツビールの変種という枠組みに還元できるわけではないようだ。じじつ、僕の好きな銘柄のドイツビール、デア・レーベンブロイと飲み比べてみると、味の傾向がちょっと違うことがよくわかる。バドワイザーとは違った飲みやすさだ。

大陸を代表する二大強国が領有を争ったアルザス地方は、その領有とともにそれぞれの国に近代化という名の繁栄をもたらしてきた。しかし、それも今は昔。両国が慢性的な対立をやめて久しい現在、地域を代表するビールは、国際的銘柄として世界中で最も親しまれるビールとなり、僕のグラスを満たしている。

それはともかく、どうやら僕は、グリーンのエンボス入りボトルに弱いらしい。

◎参考:kronenbourg/ビール友の会
http://www.office-soleil.com/beer/enjoy/euro/krone.html

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